« オペラ座の怪人 | トップページ | 伊勢原市立子ども科学館 »

2005年2月20日 (日)

天狗風 霊験お初捕り物控(二)

天狗風 霊験お初捕り物控(二)
宮部 みゆき 著
講談社文庫 (2001.09)
book_20050220

日本橋通町の岡っ引き 六蔵親分の妹 お初は、不思議な力を持っている。そのおかげで 今までも兄六蔵のお勤めの役に立ってきたのだが、六蔵はいい顔をしない。 なぜなら その力とは この世の物ではない物が 見えてしまう力であるから。

ある日の朝 下駄屋の娘が神隠しにあう。 そしてその後 八百屋の娘も 消えた。
二人が消えたそのときには、一陣の冷たい風が吹き、空は血の色のような赤色に染まっていた。
そしてお初が、消えた娘たちを探すうちに、二つの事件の周りに 同じ黒い影のようなものを見ていた。

前作(震える岩)から引き続きで登場する人物たちは、いよいよもって本作で 生き生き個性を持って動き出します。 飄々とした右京之介は 少し青年らしくなり、でもやはり少し頼りなく、 南町奉行根岸肥前守 は 相変わらずの好々爺で。
そして、今回は「鉄」と「和尚」が登場。 彼らは 事件解決の大きな助けになるのだけど、お初以外とは話すことができない。なぜなら「鉄」も「和尚」も 『人』ではないから...。

このシリーズは、江戸時代に不思議な出来事を書き留めた 「耳袋」がモチーフになっています。
この 「耳袋」にとらわれず、かといって 「耳袋」を壊さず、絶妙の距離を保ったまま宮部ワールドが作られています。
まだまだ「耳袋」にはネタがあります。このシリーズは彼女の中でも異例な仕事らしいのですが、続編が読みたいと望む読者は 私だけではないと思うのですが。

|

« オペラ座の怪人 | トップページ | 伊勢原市立子ども科学館 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 天狗風 霊験お初捕り物控(二):

« オペラ座の怪人 | トップページ | 伊勢原市立子ども科学館 »