草笛の音次郎
草笛の音次郎 山本 一力 著 文藝春秋 (2003/10) |
音次郎は浅草の渡世人。
音次郎を見込んだ代貸の源七は、佐原の親分の元へと音次郎を名代として送り出します。
初めて江戸を離れた音次郎は、訪れる先々で巡り会う人々と共に、困難に立ち向かい、男を上げていきます。
この作品では、役人を排除することで庶民の強さを描いてきた筆者には珍しく、侍が善人に描かれています。
同心岡野は、佐倉での盗賊騒ぎののち音次郎に心を開き、彼の危機を聞くや配地違いの成田までもはせ参じます。
股旅物の体裁を借りてはいますが、この作品は作者得意の下町人情物語りです。
人の優しさが人を支え人を育てる、山本一力の世界がここにあります。
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